宮城県仙台市青葉区愛子の内科・脳神経内科
☎022-392-3161
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休診日:木曜、土曜午後、日曜、祝祭日及び当院の定める休日
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片頭痛は30歳前後の女性に多く(もちろん男性にもみられます)、症状として頭の片側または両側の脈打つような拍動性の頭痛で,多くの場合に吐き気や嘔吐、光(蛍光灯など)に敏感になったり、大きい音や匂いに敏感になったりします。(光過敏・音過敏・匂過敏) 片頭痛は発作性に時々発症し、天気の変わり目や人ごみに行った後、緊張する仕事の後のリラックスした状態やパソコン作業の後などに発症することも多く、持続時間は1日から長くて3日程度で、酷い人は寝込むことも多い病気です。人によっては片頭痛の前触れ(前兆)があり、キラキラとした歯車のようなものが見える(閃輝性暗点)、言葉が出にくくなる、あくびが出たり情緒不安定になる、空腹感や落ち着かない感じといった症状を感じる方もいます。大体前兆から1時間以内で片頭痛が起こると言われています。片頭痛は遺伝的な要素もあり、両親や兄弟姉妹で片頭痛持ちの方がいる場合は、片頭痛を起こしやすいといったデータもあります。
片頭痛は全ての病気の中で日常生活に支障をきたす疾患の第7位と言われ、日本人の中で片頭痛を持っている人は推定840万人と言われており、日本人の多くが困っているありふれた病気です。これは糖尿病の患者さんの数に迫る数です。治療法があるにも関わらず「たかが頭痛」として我慢して医療機関に受診していない方がたくさんいらっしゃると考えられています。
片頭痛の診断は脳神経内科医が問診によって以下の診断基準に照らし合わせて診断します。
<前兆のない片頭痛の診断基準(国際頭痛分類第3版:ICHD-3,2018)>
A. B~Dを満たす頭痛発作が5回以上ある
B. 頭痛発作の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
C. 頭痛は以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす
D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目をみたす
E. ほかに最適なICHD-3の診断がない
症状や経過によっては頭部MRIの撮像を行い、他の危険な頭痛が無いかどうかの除外を行います。特に診断で重要なのは歩行や階段昇降の際に頭痛が増強するかどうかです。心当たりのある方は片頭痛かもしれません。
頭痛が起こった時の急性期治療と、頭痛を予防する予防療法に分けられます。頭痛発作時は軽症であれば非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs:ロキソプロフェンなど)で対応し、吐き気を伴うような中等症には経口薬のトリプタン製剤 (ソマトリプタン・ゾルミトリプタン・エレトリプタン・リザトリプタン・ナラトリプタン) を使い分けて使用します。嘔吐してしまうような重度の片頭痛発作には点鼻や皮下注射のトリプタン製剤を使うこともあります。内服のポイントとしては、頭痛が一旦強くなってしまった場合は薬の効き目が弱くなってしまうため、頭痛の起こり始め(あ、これは片頭痛だ!と確信した時)に飲むと特に有効です。
頭痛の強度や頻度を減らしてくれる予防療法は、頭痛発作の頻度が多い場合(目安は月4回以上)や発作の程度が重症な場合などに行います。内服薬として、ロメリジン(Ca拮抗薬)、β阻害薬、少量のバルプロ酸(抗てんかん薬)、少量のアミトリプチリン(抗うつ薬)、漢方薬などをご本人の状態に合わせて使い分けます。発作を完全にゼロにするのは難しいですが、トリプタンと比べ費用も安く、頭痛の頻度や強度の減少の助けになります。
こういった予防薬の効果が十分で無い患者さんに対して、ここ最近片頭痛の痛みに関与するCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質に対する新しい薬が開発され、予防薬として片頭痛患者さんへの投与が始まっています。この薬の片頭痛予防効果はこれまでの薬よりかなり高く、月の片頭痛の発作回数を約半分程度に減らす効果が証明されており、人によっては片頭痛発作がゼロになる方もおります。ただ、費用が高いため、現行の治療で効果が乏しい人に適応が限定されています。
片頭痛は適切に治療を受けていれば年齢とともに良くなっていく事が多いです。女性では女性ホルモンが低下する60歳くらい、男性では50歳くらいで自然に良くなっていくと言われています。
片頭痛は緊張するような業務やイベントの後のリラックスした時(日曜日や休暇中など)に誘発されることがあります。これは交感神経と副交感神経神経が切り替わる事が発作に影響していると考えられています。そのため、避けられる場合には緊張を要するような業務やイベンを避けましょう。ただ、お仕事等で現代人は緊張を強いられるイベントを避けられないことも多く、お薬を上手く使いながら業務に支障が出ないように上手く付き合っていく必要があるかもしれません。睡眠時間の変動も自律神経の切り替えが不安定となるため片頭痛の誘発因子となります。出来るだけ規則正しい生活を心がけましょう。
② 騒音が多い場所・光、匂いの刺激が強い場所・人ごみを避けましょう
都市部の人ごみや百貨店の化粧品売り場・映画館など光・音・匂いの刺激で片頭痛が誘発される事があります。片頭痛持ちの方は可能な限りこういった場所は避けた方がよろしいです。また、パソコン作業をする際はブルーライトカットのメガネを使用し、こまめに休憩をとりましょう。
③ 特定の食品を避けましょう
個人差が大きいですが、人によってはチーズや赤ワイン、ナッツ、中華料理や特定の調味料で発作が誘発される方がいます。いつもこれを食べると頭痛が出るな・・と思い当たるものがあれば避けるとよいでしょう。
④ ストレッチや体操をしましょう
両肩を大きく回すような運動や腕を振るような体操が効果的です。
これまで記載した片頭痛は1次性頭痛といって命に関わることはない頭痛ですが、頭痛の中には命に関わるような病気が隠れている事があります。以下のような症状がある場合には救急車を呼び一刻も早く高次医療機関を受診しましょう。
◇突然起こった今まで経験した事の無い頭痛・・・頭痛が起こった時間がはっきりしており、今まで経験した事の無い強い痛みの場合はクモ膜下出血など脳の血管の異常の可能性があります。
◇意識が悪い頭痛・・・頭痛の後に意識が悪く周りから見て様子がおかしい場合は、脳の血管の異常の可能性があります。また、発熱しており意識が悪い場合は脳の感染症の可能性があります。
◇手足が動かしにくい、呂律がまわらない、上手く歩けない、物が2重に見えるなど神経の異常を伴う頭痛・・・脳梗塞や脳動脈解離など脳の血管の異常が疑われます。
◇癌や免疫不全の病気をお持ちの方の今までに無い強い頭痛・・・髄膜炎の可能性があります。
◇精神症状(興奮したり暴れたりする)を伴う頭痛・・・脳炎の可能性があります。
以上片頭痛を中心に書かせていただきました。片頭痛かな・・・と思った方は是非ご相談ください。
岩崎晶夫(岩崎医院 院長)